下手なペーパーレス化は情報漏えい事故を量産する

「ペーパーレス化しろ!必達だ!」

そんな無茶振りをされたことはありませんか?昨今の働き方改革の潮流に加え、CSR的経営が求められる企業や団体では、トップからの指示でペーパーレス化の指示が飛んでくることがままあります。

私が見てきた経験からいうと、ペーパーレス化は、経費節減とか、環境保護とか、生産性向上などといったやらなくてもなんとかなるようなお題目で進められる場合、KPIは甘いもので、両面印刷の数を20%増やすとか、カラー印刷50%減とか、退社時にコピー機の電源を切るとか、その程度でお茶を濁すパターンがほとんどです。

しかしトップが株主に約束したり、行政のトップが市民に約束した場合はとたんにKPIが厳しくなります。印刷そのものを20%削減とか、紙出力を10%削減とか、もう毛穴からヤリが出るくらい厳しい目標になります。そして必達事項になります。

これが始まると、社内の雰囲気が悪くなるんですよね。印刷機がガンガン印刷していると管理職は機嫌が悪くなります。机の上に紙の束があるだけでも、険悪な雰囲気になって、一般社員は紙の束を机の下に隠したり。複合機のカウンタに一喜一憂したり。大変です(笑)。

楽天のケース

楽天の働き方改革の資料を見てみましょう。楽天は印刷費の削減として、一人当たりの印刷枚数目標をなんと75%減に設定しました。今まで20枚印刷していたところを5枚にするということですよ!そんなことできるんでしょうか!?

・・・それができたとのことです。下図は楽天の資料からの抜粋です。

2008年に1人あたりの平均月間印刷枚数は678枚だったのに対して、2011年は139枚になっています!79.5%の減、すごい!どのようなマジックを使ったのでしょうか?同資料には答えが書いてありました。

デフォルト8UPです!8UPとは、1ページに8ページ分まとめて印刷することを意味します。鬼のような所業ですね。文字、小さすぎて絶対読めません。老眼の私にはまったく見えません。

たしかにこれなら単純計算で印刷枚数は1/8=12.5%になるので達成できますが・・・環境には優しいけど、おじさんには厳しいのですね。ひょっとすると、A4ではなくてA2ぐらいで印刷しているのかもしれません(笑)。

数値目標だけで手段なしのペーパーレス化は情報漏洩の危険を生む

数値目標で押さえるだけで達成のための手段を講じていないペーパーレス化は、社員の不正な行動を生じさせて、結果的に情報漏えいにつながる可能性があります。私が聞いた話ですが、社内で印刷するとKPIを達成できないため、こっそりデータを社外に持ち出して街のコピーセンターのようなところで印刷しているところがあるそうです。また、会社設備の複写機とは別に、部署でプリンタを購入してこっそりそれで印刷する、という話も聞きました。中にはどうにもならなくてお客さんに印刷をお願いした、なんて話も聞いています。

これは情報セキュリティ的に非常に危険です。2016年の日本ネットワークセキュリティ協会の調査によると、情報漏えい媒体・経路は1位が紙媒体で47%、2位がインターネット、3位電子メール、4位USBメモリ等となっています。こっそりデータを社外に持ち出して印刷などといったパターンは、1位~4位全部のリスクを踏む可能性があります。4位までで計93.6%。麻雀なら数え役満レベルです。実は下手なペーパーレス化の目標の乱立が、このような調査結果につながっているのではないでしょうか。

数値目標で押さえつけて達成のための手段を講じない業務改革は、どこかに無理が生じて不具合が出ます。

コンサルに頼んだら達成できる?

そしたまたありがちなパターンは「コンサルに頼む」です。よく出入りしているコンサルに、20%削減の必達事項が指示されたからなんとかしてほしい、と発注するパターンです。このパターンの顛末もお決まりで、丸投げだと実現性の低い施策しかでてこないし、ガッツリ入ってもらっても各部署や担当から「その紙は削れない」と総スカンを食らいます。その結果、目標を達成できずに、コンサルに損害賠償の要求まで突き付けて苦情を申し立てるが、コンサルはそもそもコミットはしていないし、もしくは協力体制が不十分で契約時の前提を満たしていなかったと突き返します。ある意味当然ですね。それでも、高いコンサルフィーはきっちり支払い義務が生じます。

さて、どうしたらよいでしょう?

(つづく)

出典

楽天の”働き方改革”, 楽天株式会社(2018年).

情報セキュリティインシデントに関する調査報告書, 日本ネットワークセキュリティ協会 (2016年).

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