組織が変革できないのは慣性がかかっているからだけでなく、さらにその組織で働く人間にバイアスがかかっているからです。ここでは、そのバイアス4つとそれを取り除くためのヒントをハーバード・ビジネス・スクール教授のフランチェスカ・ジーノ氏がHarvard Business Reviewに寄稿した論文[1]からご紹介します。
成功へのバイアス
失敗を恐れ、過去の実績に依存し、失敗を学ばないのは、人間だからしかたないのです。でもその性向を少しでも意識して、成長の考えを受け入れ、可能性を信じることが必要です。
行動へのバイアス
多忙で疲れ果てると人間はなにも考えなくなります。ちょっと余裕を持たせて、振り返る機会があれば、人間はなにかに気づくことができます。
適用へのバイアス
長いものには巻かれろ、郷に入れば郷に従えという格言の通り、人間は組織に順応しようとしますが、それが変革への妨げになっていることがあります。経営者や管理者は、うちではこういうやり方なんだ、こういう方針や規則なんだと押し付けるのではなく、従業員が能動的に成長できるような機会を提供する必要があります。
専門家へのバイアス
そもそも、なにをもって専門家とみなすのでしょうか。専門家の評価を経験、学位、役職などの指標に頼りすぎてはいませんか。加えて、そうやって見つけ出した「専門家」のアドバイスを重視しすぎてはいませんか。もしくは、専門家と現場のオペレーションは完全に分業すべきだと考えてはいませんか。現場のことは現場の従業員が一番よく知っています。従業員が変革のアイディアを出せないならば、管理者はその原因を取り除くよう積極的に努める必要があります。
ではどうしよう?
さて、このように組織にかかっている重圧な慣性、そして組織の中の人たちにかかっているバイアスから逃れて業務改善をするにはどうすればよいのでしょう。世界中の経営学者やコンサルタントが見出した解決策の源流は、なんと日本にありました。
出典
[1]Francesca Gino, Bradley Staats:Why Organizations Don’t Learn, Harvard Business Review, November 2015 Issue (2015).